しづき
「そーいう白はどうなんですか?
私がいなくなってひとり寂しく隠居なんて。
おかしくなりません?」
「ははっ、なるかも。
まー死なない程度に生きるよ」
「死なないでください」
言い放つ私に、白はぴくりと反応する。
「死んでも…私のこと忘れないでください」
続けた言葉と同時
応えるように
やわらかなキスが降ってきた。
耳もとに伝った唇が囁く
─『なにも聞かないでくれて、ありがと』
私から体を離した白は穏やかに笑っていた。
それは陽だまりのような笑顔。
私の大好きな、白の笑顔だった。
「汐月のこと、1ヶ月じゃなくて
永遠に縛りつけておければいーのに」
なんて、冗談みたいなことを言って
私の頭を優しく撫でる。
「じゃーね、しづき」
綺麗に笑って、白は去っていった。