しづき
真夏の河川敷。
汐月と別れて、車へと乗り込んだ。
「……」
体が、ありえないくらい脱力した。
自分の手のひらを見つめる。
やわらかな汐月の髪を撫でた手のひら。
短かった1ヶ月。
ぼくはこの手で汐月に触れ続けた。
もちろん拒絶されたこともあったけど。
だけど、最後は汐月の隅々まで愛すことができた。
嬉しくて、それでいて切ない。
汐月…汐月……
「しづき…」
わかってる、汐月は確実に強くなった。
無感情な彼女はだんだんといろんな表情を見せてくれた。
自身でも確信するほど精神面は丈夫になったんだ。
わかってる…わかってるけど…
「汐月…」
君の強さは、優しさや弱さからくるものだから心配だ。
まわりの心無いやつらに傷つけられないだろうか。
心配で心配でたまらなくなる。