しづき


そしてもうひとつ。


これからの人生、ぼく以外の人間と過ごし、友ができ、恋人ができて。


結婚して子どもができて、幸せを育んでいく。



喜ばしいはずなのに、嫉妬でどうにかなりそうだ。



似顔絵も、キスマークも

一生、ぼくのだよって指輪もあげた。



なのに、どす黒い感情が胸に溢れて止まらない。



「はぁ…っ」



汐月はぼくの。

ぼくだけのもの。



言い聞かせても信じていても


ぼくはもう、君の行く末を見届けることができないから。


もうじき…いなくなってしまうから。


君と一緒にいる未来を望むことはできないんだ。


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