しづき



「てか、まだ着替えてないんだね。かわいーの用意したのに。ぼくが着替えさせてあげよーか?」


「…私の制服はどこですか」




今着ているのはバスローブ。


これは男女兼用のものだから安心して着られたけど、まさか私服まで用意していたなんて。




「制服?あぁ、汐月と眠れないのが寂しくてそれ抱きしめて寝たから、今朝クリーニングに出したばっかりだよ。だから今手元にはありませーん」


「抱き…っ、は?」


「汐月はいい匂いだよね。落ち着く匂いってゆーか、匂いすら可愛い。汐月エキス抽出して香水として使いたいくらい」




いや、えっと、ちょっと待って。




「あの…気持ち悪いです」


「だからそれ心外…いや、褒め言葉か。気持ち悪いって思われるくらい、ぼくの想いが伝わってるってことだもんね」




解釈の仕方がおめでたすぎる、



ぽかんと呆れていれば、男は枕元の着替えに手を伸ばし、それを大きく広げた。


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