しづき
「うん、いーね。白。すごく気に入った」
「ほ、ほんとですか?」
その声が言葉がなんだか嬉しかった。
テキトーに決めたはずなのに、ものすごく大きなことをした気持ちになる。
「白は汐月にいちばん良く似合う。
白は汐月の色。つまりぼくは汐月のもの」
「それは無理やり理論すぎです」
「なんだっていーよ。
もうぼくは汐月のものだね。うれしーな」
なんの濁りもない笑顔にドキッとする。
この人…白はどこか含みのある笑みばかりだったから。
「ぼくは白、ぼくは白。汐月の白」
「やめてください」
「そーだ。お互いの名前の焼印でも入れ合う?ちょっと痛いかもしれないけど、痛みのぶんだけぼくらの繋がりは強固なものに…」
「入れません」
まったくこの人は、すぐ調子に乗る。