しづき



「んっ…」


「ほんと幸せ。
幸せすぎておかしくなりそう」




リップ音を立てて
ようやく白は唇を離してくれる。


ずっと触れていたせいか、鎖骨には生々しい感覚が残りヒリヒリと痛んだ。




「ぼくもつーけよ。かわいい汐月の名前」




白は鏡を見ながら私と同じ場所の右鎖骨に

『しづき』と器用に貼り付けた。



時折鼻歌なんて歌いながら、鏡でそれを確認している。



剥き出しになった白の鎖骨に私の名前があるっていうのは…なんか…すごく変な気持ちになる。
不思議にも嫌悪とはまた違うけど。



ていうか、お互いの名前をお互いの体に貼り合うなんて普通に考えて気持ち悪いのでは?

関係性としても誘拐犯とその被害者。
もうよくわからない。


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