しづき


すると男の手がそっと伸びてきて、私の頬に触れた。




「っ!」




なに、いきなり。



手のひらは、ふわりと、優しく。



頬などこんなふうに触れられたことがなかったから、思わず体が反応してしまった。




男はそんな私を見て目を細める。



知らないまなざしだった。




そんな



そんな愛おしげなまなざし



向けられたことなんて、ない。





男はミルクティーにさらに白を足したような髪色をしていた。



スッと通った鼻筋も、白い肌も、とろんと優しい瞳も




すべてが綺麗だった。



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