しづき


いくらもがいても離してもらえないから、寝落ちる瞬間までずっと痛くて。



意識を失ったみたいに気がつけば朝になっていた。



目が覚めた時に見たのが血まみれのシーツなんて、気分が悪いったらありゃしない。



「汐月…」

「ストップ」



手を伸ばしてくる白に待ったをかけた。



「あなた言いましたよね。心の治療をしてくれるって。それなのに、2日目ですでに血まみれなのですが?」


「う…それは、ごめん…」



バツが悪そうに目を伏せる白。



その姿はまるでイタズラしてしまった子犬のよう。



顔だけはかわいいけど、ここで甘やかしたらいけない。



「本当に申し訳ないと思う気持ちがあるのなら、今日一日、私に近付かないでください」


「え…むり」


「むじゃないです」



まるで世界の終わりのように顔を歪める白を、キッパリと切り捨てる。




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