しづき
うっとりと閉じていた目を開くと、浴室と脱衣所を繋ぐ扉のすりガラスに、黒い影が映っているのに気がついた。
「?!」
一瞬、心臓が止まると思ったけど
白に近いミルクティー色が見えた時、ふっと体の力が抜けた。
「なにかご用ですか?白さん」
私の呼びかけにモゾッと動く影。
「……しづき」
聞こえてきたのは、とてもか細い声だった。
「なんですか?入ってこないでくださいね」
「入らないよ。妄想はするけど…」
妄想もやめてほしいのだが。
白は扉に背を預けるように、ゆっくりと腰を下ろした。