しづき


胸に残る、消えない自傷痕が痛みだす。



手首に、甲に、二の腕に。



傷口はとっくに塞がっているのに、痛くてしょうがなかった。



「はぁ…はぁっ」



心臓がバクバクと跳ね回る。



やだ、やだ

やだこんなの。



ごめんねなんて。



私がまるで、あいつらと同じことをしているみたいで。



グワングワンと目眩がした。


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