しづき
「なんなの…ほんと……」
いみわかんない。
誘拐犯なのくせに。
私のこと、傷すら包み込むみたいな。
こんなこと思ってはいけないし、思うことすらおかしいのは分かっているけど。
優しい狂気に満ちたこの檻の中でなら、少しくらいおかしくなってもいいと思うんだ。
もっと普通に出逢いたかった、なんて。
私はそれからまた少し泣いた。
白に泣いたことがバレないようにタオルでゴシゴシと目を拭いて。
白が用意してくれた私好みの服を身にまとって。
寝室へと戻った。