しづき


私は



そんな白の襟元を思いっきり掴んで



剥き出た鎖骨に噛み付いてやった。



「んっ…」



白の声が小さくこぼれて、私たちはそのままベッドになだれこむ。



きっと白の鎖骨にある「しづき」の文字は歪んでる。



強く、強く噛んでいるから。



「し…づき……っ」



私の名前を呼ぶ白。



それ以上呼ばれたら
きっと泣いてしまうから。



鉄の味がするまで、歯を食いこませた。


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