あたしのだから!
貴文(たかふみ)の結婚
貴文(たかふみ)が岩手県に行き、数年が経った。
『あ、なな?
俺さ、結婚した』
久しぶりの電話の時、やけに弾んだ声で貴文は言った。
「え~、おめでとう~!
相手って、前、言ってた好きな人?」
『そうそう!
嫁、バツイチだから、もう結婚したくないって言ってたけど、説得した(笑)。
俺、嫁の苗字になったから、もう中沢(なかざわ)ではないよ』
「結婚しちゃったからもう今度こそ会えないね」
『いや、会うよ?
俺らが供養しなきゃ、誰が幸(ゆき)の供養をするの…?』
幸とは、あの日、あたしが中絶をした子どもだ。
せめて天国では、幸せになってほしいと、2人で考えて決めた…。
『あ、なな?
俺さ、結婚した』
久しぶりの電話の時、やけに弾んだ声で貴文は言った。
「え~、おめでとう~!
相手って、前、言ってた好きな人?」
『そうそう!
嫁、バツイチだから、もう結婚したくないって言ってたけど、説得した(笑)。
俺、嫁の苗字になったから、もう中沢(なかざわ)ではないよ』
「結婚しちゃったからもう今度こそ会えないね」
『いや、会うよ?
俺らが供養しなきゃ、誰が幸(ゆき)の供養をするの…?』
幸とは、あの日、あたしが中絶をした子どもだ。
せめて天国では、幸せになってほしいと、2人で考えて決めた…。