あたしのだから!
翌日、

「ななっ」

待ち合わせ場所に、少し遅れて貴文がやってきた。

「とりあえずラブホ行く?」

「既婚者が何言ってんの!」

あたしは軽くあしらう。

結局、待ち合わせ場所から近いカフェで話をする事にした。

「嫁に、元カノと会うな、連絡もするなって言われたんだ…。
でも俺は、ななが今でも大事だから、嫁とケンカになって、離婚届置いて出てきた…」

「………」

何も言えなかった。

その時、貴文の携帯が鳴り、貴文は少し嫌そうな顔をする。

「嫁からだ…。
ごめん、出ていい?」

「あ…、うん」

あたしが頷くと、貴文は電話に出た。

「もしもし?」

『ねぇ、なんで離婚届なんて置いていくのよ!』

受話器の向こう側で、ややヒステリック気味の声が聞こえた。
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