俺様ヤンキーは溺愛王子

私は返す言葉が見つからなかった。
（うちは両親、共働きだけどちゃんといて、私を育ててくれる。お母さんとお父さんがいない生活なんて想像できない。）
龍基は辛いはずなのに話し続ける。

「今、俺は15、兄貴は22、姉貴は21で妹はまだ5。もちろん、妹は両親のことなんか覚えてねぇ。
両親が亡くなってからまだ高校生だった兄貴と姉貴は学校を辞めて親がわりに仕事して家事して全部やってくれた。
俺はまだ未熟だから家のために何も出来ねぇんだ。それが情けない。」

龍基はだんだん声が小さくなっていき、気がつくと静かに泣いていた。
私に気づかれないように声を押し殺しているのがわかる。

今度は私がスッとハンカチを差し出す。
私にできることなんて、、、これぐらいしかない。

「一人じゃないですから。私がいますから。」
それしか、かける言葉が思い浮かばず龍基の背中をさすった。
（龍基ってもしかして…、ううん、絶対に家族思いで優しいじゃん。それなのに私は勝手に龍基のことを決めつけて、、。）