俺様ヤンキーは溺愛王子
「知らない人だよ。」

目をそらしながら答えると女の子たちはそっか〜と言って離れていった。
(なんで龍基くんは私なんかと付き合ったんだろう。)
涙が溢れそうになって下を向く。

(あなたの隣は他の人で埋まってるの?)


「龍基くんと結菜ちゃんお似合いだったのに。」
「本当にね。理想のカップルって感じだった」

(隣にいたいって思うことすら許されないの?)


クラスの子たちがヒソヒソ話している言葉も全く耳に入らない。
その時だった。

「結菜!!」
ずっと聞いていなかった優しくてあったかい声が聞こえたのは。
龍基くんが近づいてきたのには気づいたけど顔を上げない。
きっと、私のことなんてもう好きじゃないだろうから。

(なんでわざわざ会いにきたんだろう。)
隣のクラスだから会わないようにしようと思えば全然可能だ。
なのに、、なんで…。

「もう我慢できない。」
龍基くんは一言だけ言って私の腕をつかむ。

「なんで来たんですか、、。」
私の心はグチャグチャだ。
「もう、、私に関わらないでください、、!」
私は腕を振り払って走った。
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