キラキラ【完】
「莉子、12/24夜空いてるか?」
クリスマスイブだけど、彼氏がいるわけでもない私に予定はない。はすみんだって部活だし。
「空いてますけど、何かあるんですか?」
またシリウスの何かがあるのかな。
「二人で食事行かないか?」
「え?」
しっかり聞こえてしまったその声。
一瞬で周りの雑音が聞こえなくなった。
「看病もしてもらったし、こうしてモデルも手伝ってもらってるし、お礼がしたいんだ。」
あっけらかんとそんなことを言い出すトップスター。
「いや、お礼をしないといけないのはこっちで、そんなご飯なんて、」
いつも助けてもらって、倒れた時だって、パーカー持って帰っちゃって、チンピラに絡まれて助けてくれたのも、家に泊めてもらったのも、雷が怖くてそばにいてくれたのも、私何もお礼してない。
「いいんだ。俺は莉子に会える口実がほしい。」
佐伯さんの言ってることが少し分かった気がした。
目の温度、それを確かに感じた。
熱い、溶けてしまうほどに、その視線はまるでレーザービームのようだった。
熱のこもった言葉。
「は、はい。」
もう何も考える余裕もなくて、咄嗟に答えた。
『莉子に会える口実がほしい』その言葉に、心臓が止まりそうになる。
しゅんくんは私にいくつ爆弾を落とせば気が済むのか。
彼の目論みは何もわからない、どうしてそんなことを言うのか。
「いいのか?」
嬉しそうに笑うしゅんくんに黙って頷くことしかできなった。