キラキラ【完】
もうしゅんくんの視界に入るわけにはいかない、そう思っていたのに。
「ほら莉子ちゃん、もっと前で見ようよ!!」
「ちょ、花奏ちゃん、」
大きい声で私の腕を引っ張りながらそういう花奏ちゃん。
自惚かもしれないけど、『莉子』という言葉に、しゅんくんが反応した気がした。
しゅんくんとの距離約5メートルほど。こんな近い距離じゃ、だめだ。
「っ、」
ついに目が合ってしまった。
びっくりしているしゅんくんの表情。
息が止まりそうになった。
だめだ、逃げないと。
「花奏ちゃんごめん、私ちょっと体調悪いから帰るね!」
「え、莉子ちゃ、」
戸惑う花奏ちゃんに構いもせず、ただひたすら商店街を走る。
もう会わないって決めたのに、気持ちに蓋をしたはずなのに、どうしてこうなっちゃうの。