キラキラ【完】
「莉子っ!!」
背後から聞こえる声。
紛れもなくしゅんくんのものだとわかった。
どきんと胸が高鳴る。
どうしてそんなに焦った声色なの。
どうしてついてくるの。
私のことなんてどうでもいいはずでしょ。
振り返るわけにはいかない、前を見て進まないと。
近づいて来る足音。
巻こうと、細い路地に入るが逆効果だった。
「莉子っ!」
ついに追いつかれてしまった。
「っ、はぁはぁ、」
がっ、と逃がさないように強く握られる手首。
「はっ、離して!」
「っ、離さない。なんで、連絡無視するんだ。『もう会えない』ってなんだ。俺、何かしたか?」
どうしようもなく悲しそうな表情に、胸が抉られそうになる。
どうしてそんな顔するの。
私と関わったら、いいことなんてひとつもないのに。
どうして振り解いても、関わって来るの。
「…何もしてないです。私の問題です。」
お願いだからもう、これ以上惑わさないで。
決心が揺らぎそうになる弱い自分に嫌気がさす。
ああ、泣きそう。
「どういうことだ。」
「もうしゅんくんには会えません。」
目なんて見れない。
「莉子に会えないなんて嫌だ。」
そんなこと言わないで、好きと涙が溢れてしまいそうになる。
そんな顔しないで、しゅんくんは何も悪くないから。
もうこれ以上あなたの邪魔はしたくない。