キラキラ【完】
「ほ、本当か?」
掴む手が緩くなった気がした。
相当動揺しているのか、瞬きの回数が増える。
「こんな嘘つきませんよ!キスなんて慣れてるかもしれないけど、私はそうじゃないんです。これ以上辛い思いしたくないんです。」
しゅんくんは今までキスシーンこそなかったものの、プライベートはわからない。
綺麗な人たちがたくさんいる環境で働いている彼にとっては、どうってことない日常なのかもしれない。
「莉子、」
「離してっ」
私の腕を掴む手が緩んだ瞬間を狙って、すり抜ける。
全速力で逃げるけど、それ以上しゅんくんは追って来ることはなかった。
こんな終わり方したくなかった。
…始まってすらないかもしれないけど。