キラキラ【完】
「出たよ、女子特有のやつー」
『うぜぇー』とどこか嬉しそうに笑う星護。
ふと、聞き覚えのある音楽が流れる。
シリウスの曲だった。
通りかかった、CDショップから漏れてきた音。
思わず立ち止まってしまう。
周りの音が何も聞こえなくなる。
「莉子?」
星護に声をかけられてはっとする。
「あ、ごめんなんだっけ、文化祭の話?」
最近シリウスの曲聴いてなかったけど、やっぱり聞こえてくると反応してしまう。
思い出すのはしゅんくんの目がたれるくちゃくちゃの笑顔。
「まだあいつのこと忘れられねえの?」
私の顔を覗き込むように伺う星護。
すごく心配そうな顔してる。
「やだなぁ、違うよ、オタクだったし反応しちゃうだけ!」
もう忘れるって決めたんだ。
「…そうか。」
どこか腑に落ちてない様子。
きっとまだ振り切れてないってばれてるんだろう。
「そうだよ、もう忘れたよ!」
そう自分に言い聞かすしかない。
「…莉子あのさ、文化祭一緒にまわらね?」
夕日のせいなのか、顔を真っ赤にしてそういう星護。
目を逸らして居心地の悪そうな表情。
「サッカー部はいいの?」
毎年星護はサッカー部のみんなで回ってたし。
「うん。莉子と回りたい。」
そのなんとも照れ臭そうな表情は、私にまで伝染する。
そんな言葉をかけられると断る理由もなくなる。
「わ、わかった。」
こうして、文化祭は星護と回ることになった。