キラキラ【完】


そんなことを検討している最中、ある高校で行われていたシリウス全員で出演するCMの撮影があった。




健一の姿が見当たらないとスタッフの人が探していたので、校舎の外に出て探してみると一人の女性と話していた。





あの時の彼女だった。





健一相手にもとても緊張している様子だった。




両手に大切そうに抱き抱えられたあの日のパーカー。




声をかけると信じられないといった表情をして、恥ずかしそうに俯いた彼女。




カバンには、前回のツアーのストラップが付いていた。本当に応援してくれているファンの子だったんだなと思った。




ありえないくらい震える彼女からなんとかパーカーを受け取る。



彼女は白木莉子という名前らしい。




白木さんはシリウスの中でも俺のファンらしい。




とてもありがたいこと。




ありがとうと伝えると嬉しそうに瞳を潤ませた。




純粋にすごく嬉しい気持ちになった。



アイドルとして売れていく一方でこうしてファンの子と近くで話せる機会が減っている中、とても貴重な時間だったと思う。



いつもは大きなステージの上からしか見ることができないから。




そうこうしているうちにスタッフの人に呼ばれて、白木さんとは別れた。

< 162 / 187 >

この作品をシェア

pagetop