キラキラ【完】
もうきっと会うことないだろう、そう思っていた。
しかし再会は意外と早かった。
それは健一のいつもの突拍子もない突風みたいな思いつき。
ツアーのセットリストを考える打ち合わせに、
『ファンの意見を取り入れたい』と、どこからともなく白木さんを連れてきた。
相変わらず緊張した様子の彼女。
右手と右足を一緒に出しながら歩く姿には、少し笑みがこぼれた。
しかし、打ち合わせが始まって健一から話を振られると様子が変わった。
スラスラと出てくる意見、ずっと応援してくれていないとできないような提案が山ほど出てきた。
その発想力と、分析力に感心する。
キラキラした目で、シリウスのことを語る白木さんに釘付けになった。
健一の提案で、白木さんのことを莉子と呼ぶことになった。
女性を下の名前で呼ぶのは初めてだったが、自分の中で違和感が全くなくとても呼びやすかった。