キラキラ【完】
莉子の足は思ったより遅くて、すぐに追いついた。逃がさないように手首を握った。思わず力が入る。
振り向いた莉子を見てびっくりした。
すごく悲しそうな顔をして、目に涙を溜めていた。
ドクンと胸が狭くなる。
どうして泣いているのか、わからなかった。
『私の問題』『もう会えない』そんな突き放すような言葉たちに、絶望していく。
告白すらすることができなかった。
悲しそうな顔のまま、お見舞いに来た時に俺がキスしてしまった話をされた。
俺は何をしているんだ。どうしてそんなこと、寝ぼけてしてしまってるんだ。
自分は何も知らないまま、莉子にだけ悩みを与えていたのか。
俺は最低だ。
油断した隙に、振り払われた手。
もう追いかけようとは思わなかった。
莉子の苦しそうな表情が脳裏から離れない。
俺がそんな顔をさせている。
きっと莉子の相手は、俺じゃない。
諦めるしかない。
莉子が笑顔でいれるために、離れるべきだとこの時初めて気がついた。