キラキラ【完】
知らない世界が目の前に
7月29日(金曜日)
あれから一ヶ月ほど時が経ち、季節はすっかり夏になった。
「莉子〜鎌田のおばちゃんちの唐揚げ買ってきてくれない?」
夏休みに入り、学校もないし、はすみんも部活だし、暑いしでずっと家に閉じこもっている私にお母さんがそう言う。
「んー、暑いもんー」
「もうそんなダラダラして!おつかいくらいしてよ。」
「…わかったよ」
そう言って家を出る。
もう、せっかくシリウスのライブ映像見てたのに。
ジリジリと照りつける日差し。
近所だから、Tシャツと短パンにサンダルで来ちゃった。
鎌田のおばちゃんとは近所のおばちゃんで、小さい頃からお世話になっている唐揚げ屋さん。
今どきな感じのお店じゃないけど、古き良きって感じ。
これがまた世界一美味しい唐揚げなんだ。
いつも大量にサービスしてくれるんだよね。
「あら、莉子ちゃん。いらっしゃい。」
いつも通り、優しく微笑んでくれる鎌田のおばちゃん。
「おばちゃんっ、とりももの唐揚げ500gください。」
「とりもも500ね!…莉子ちゃん、今日時間あったりしない?」
「うん、大丈夫だよ。何かあったの?」