キラキラ【完】
「いや、いたっ、やめてください」
もちろん力は強くて、涙が溢れて来る。
「ついてこいよ。」
怖いよ。どうしよう。こういう時ほど思うように声が出せない。
「やめろ。」
その声と同時に腕を掴まれてる痛みは消え、鈍い音が聞こえる。
気がつくと目の前には、さっき私の腕を掴んでいたチンピラが倒れていた。
瞬殺だった。
「大丈夫か。」
ハッと隣を見ると、しゅんくんがいた。目を疑う。
かっこいい。
こんな一瞬で人を倒せるなんて。
また夢のようにふわふわしてくる体。
さっきまでステージで輝いてた人が目の前にいる。
「…しゅんく、っどうして、」
コンサート終わりでシャワーを浴びた後なのか、シャンプーの匂いがふわり夜風に乗って香って来る。
髪型をセットしてないせいで前髪が乱れ、目にかかっている。
チンピラを見る目は冷血そのものだった。
「莉子は本当危なっかしいな。」
安心したのは束の間、別の意味で震えて来る。
突然の莉子呼びにまたもや心臓が危うくなる。
ああ、オタクには情報量が多すぎる。