キラキラ【完】
「ふっ、喜びすぎですよ。」
嬉しい。よかった。
ほっと一安心。
「っ、莉子、初めて笑ってくれたな。」
熱のせいなのか、しゅんくんの顔は先程よりも赤く見えた。
私、しゅんくんの前で笑ったことなかったっけ。
でも、いつも緊張して、表情がこわばって笑う余裕なんてなかったかもしれない。
「…いつも緊張するんです。」
目も合わせることがままならないのに。
「どうしてだ。」
「…そ、そりゃ、推しなので、ドキドキするんです。」
そこらへんの人とはわけが違う。ずっと見てた人なんだもん。
今だってずっとドキドキしてる。
思わず視線が下がってしまう。
「俺にドキドキするのか?」
下がった顔を覗き込んでくるしゅんくんに息が止まりそうになる。
近い。
どこか優しいその瞳に吸い込まれそうになる。
「っ、はい…」
精一杯の返事。
さっきまで普通に話せていたのに、意識をし始めてしまったらもうダメ。
「そうか。可愛いな。」
無意識なのか、弄ばれてるのか、ストレートにそんなのこと言われるとどうすればいいかわからなくなる。
恥ずかしげもなく目を見て真っ直ぐ言うしゅんくんに、もうお手上げ。
「わっ、私、キッチン、片付けてきますっ、」
挙動不審のまま、寝室を出ることしかできなかった。