キラキラ【完】
佐伯さんの一声で、たくさんの人が動き始めて、私たちにライトが照らされる。
「よろしくお願いします。」
それと共に、しゅんくんの表情が切り替わったのがわかった。
目の色が変わった。
やはりプロだなぁ。
「莉子ちゃん、瞬にもっと近づいてー」
佐伯さんの指示。
どんな撮影なのか、何も聞いていない私。
近づくと言われてもどれくらい近づけばいいかなんて、分からないし、これ以上近づけない。
今だって、もういっぱいっぱいで、別に遠い距離にいるわけじゃない。
そう思いながら、もたもたしていると、
「もっと、こっち。」
しゅんくんがリードするように、優しく手を握って引き寄せてくれる。
近づく距離。
漂ういつものホワイトムスクの香りに、くらくらする。
「っ、」