キラキラ【完】
引きで撮ると言っても、私としゅんくんの距離は先程とあまり変わらない至近距離。
「莉子、普段通りで大丈夫だ。」
私の瞳にドアップで映し出されるしゅんくん。
きっと私が17年間、今まで瞳に映してきたもので、一番美しいと思う。
「…ふ、普段も緊張するんです、」
パシャーーーーーー
「…そうだったな。」
それにしてもしゅんくんはいつも通りすぎない?
やっぱり、キスしたこと覚えてないのかな。
「あの…やっぱりこういう撮影は、慣れてるんですか?」
パシャーーーーーー
「…んー、慣れてはない。ただ仕事だし、表情とかはそれなりに作ることができる。」
淡々と答えるしゅんくん。
「そうですよね。」
何故か落ち込む私。
でもさっきから、自分の鼓動だけでない、もう一つのリズムを感じる。
きっとこれはしゅんくんから伝わっている鼓動。
私の鼓動と、しゅんくんの鼓動、交互に鳴って、まるで呼び合っているようにリズムをつくっていた。
…しゅんくんも少しはどきどきしてるのかな、なんて烏滸がましいことを考えてしまう。