真冬の花
その時、ガヤガヤと高校生のグループが入って来た。
「いらっしゃいませー」
あ、冬真くんの学校だ。
そんな事を考えながら、席に案内して、あたしは注文を聞いて戻った。
「悪ィ、遅れた」
「冬真、遅いー!」
冬真くん?
その声に、思わず振り返ってしまった。
「羽菜さん!こんちわ〜」
「いらっしゃいませ。冬真くん」
あたしは笑顔で応対した。
「誰ぇ?冬真」
一人の女の子が訝しげにあたしを見てる。
「羽菜さんはバイト先の先輩」
「ふ〜ん」
…そうですが、何か?
聞かなくてもわかるでしょ?
冬真くんを好きオーラがバンバン出てるよ…
…若いなぁ。
あたしもそこまで年ではないけど、自分と高校生ではやっぱり違うな、と苦笑い。
まだあたしを見てる女の子の視線に気付かない振りをした。
楽しそうに、みんなと話をして盛り上がってる冬真くん。
笑顔がかわいい。
あたしはなぜか、心が少し痛かった。