イノセント*ハレーション
そんなことがあってから、早3ヶ月...。

今日は12月22日。

クリスマスイブの2日前だからか、池袋駅前は多くの客で賑わっている。

なぜあたしがこんな大勢の人が行き交う場所に居るのかというと...


「凪夏ちゃんっ!ごめん、お待たせ~」


真っ白のコートにピンクベージュのスカート、茶色のショートブーツという女性らしい格好で現れたのは鶴乃ちゃんだった。

ちなみに、"鶴乃さん"という呼び方は距離を感じるから止めて欲しいとのことだったので、10月に入ったくらいからは"鶴乃ちゃん"に変えた。

そんな可愛らしい鶴乃ちゃんと共にやって来たのは、姫を温かく見守る王子様と護衛の騎士だった。


「おはよう、凪夏ちゃん。今日は澪夜の買い物に付き合ってくれてありがとう。ほら、澪夜もちゃんとお礼して」


そう言われて王子様の後ろから騎士にしては覇気がないような気もする彼が登場した。


「今日はありがと。雨谷のバイトの時間までにはちゃんと良いプレゼント見つけるから、お力添えよろしくお願いします」

「そんな改まらなくても。それより、早く行かないと。混む前にさっさと決めるよ」

「そう...だな」


凪夏ちゃんが先陣を切るなんて意外だとかなんとか言われながら、あたしは皆の前を歩いた。

とはいっても、2人ずつに分かれて前後で歩いているんだけど。

部室の清掃があって来れない戸塚くんの代わりに鶴乃ちゃんの隣にいるのは、やはり湧水くんだ。

このまま2人が良い感じになってしまえば、戸塚くんはどうなるのだろう。

あたしから見れば、鶴乃ちゃんがどちらを選んでくっついても、うまくバランスを取れる気がするから、あたしはどちらでも両手を叩いて祝福する。

鶴乃ちゃんの気持ちのまま答えを出せばいい。

そう思ってる。
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