イノセント*ハレーション
鼻緒を直してもらい、駅に向かう間、弓木くんから話を聴いた。

弓木くんが四方八方捜し回っていると、突然話しかけられた。

それが、湧水くんだった。

日葵にだけは帰国の日時を伝えていて、約束の場所に向かったのだけれど、日葵がなかなかやって来ないから捜しているとのことだったらしい。

そして、2人で手分けして日葵を捜すことになり日葵は湧水くんに見つけられ、弓木くんとも合流し、あたし達のところに向かったということ。

あたしは足の親指と人差し指の間のジンジンとした痛みに耐えながら、平然を装い口を開く。


「要するに、湧水くんが日葵にしか連絡していなかったことに腹は立つし、湧水くんの方が先に日葵のことは発見するしで、湧水くんに日葵を盗られたような気がする、嫉妬している、とそういうことでしょ?」

「別にそんなんじゃ...」

「弓木くんは分かりやすすぎる。顔に日葵が大好きだとか心配だとか書いてある。日葵のことが何よりも誰よりも大事で我を忘れるほど。さっきまでの君、声もかけたくなくなるほど憔悴仕切ってた。魂が抜けて肉体だけが彷徨ってるみたいな感じ」

「そんな恐ろしいこというなよ」

「さてはお化けが怖いタイプ?」

「あんなの怖いわけない。それより雨谷の思考の方が怖い。ってか、不気味だ。俺の心、全部見透かされてる気がする」

「自意識過剰。あたし、そんなに弓木くんのこと観察してないし全部なんて知らない。実際、君の誕生日も血液型さえも知らない」

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