エリート警察官の溺愛は甘く切ない
「父さん。」

私が話しかけると、いつもの気難しい父さんの顔に戻った。

「何だ。」

「私、結婚しても父さんの娘だからね。」

「当たり前のことを言うな。」

「だから、寂しくないよ。気軽に実家に帰るから。」

その瞬間、父さんはウルっと涙を貯めた。

「帰ってくるな。圭也君と上手くやれ。」

「はいはい、父さん。」

これ以上話したら、父さん泣いてしまうと思って、ここまでにした。


そして、式場の人がやってきた。

「では、お式を始めますので、こちらに。」

「はい。」

圭也さんはどんな感じなんだろうと思っていると、向こう側からやってきた。

「紗良さん。」

少しだけ手を挙げる圭也さんが、可愛らしく思えた。

良く見ると、ちょっと震えている。

「緊張しているの?圭也さん。」

「分かった?何せ、結婚は初めてなもんで。」

私は、ふふふと微笑んだ。
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