ネコちゃんの彼氏様
今日はマグロが100円引きになってた。
大好物、大満足!


ルンルンで家に帰る。
あ、今は人間だよ。でないと刺し身持てない。


ルンルンで前を見てなかった。
なんかチャラチャラした人とぶつかっちゃった。



「いってーな、おい」


うわ、、雰囲気だけじゃなくて
中身もチャラかった


「あ、すいません」


一応ちゃんと頭は下げる。
そんなぶつかったの痛かったかな?
当たり所わるかった?
もしかして、見た目よりめっちゃ弱いとか、?


さっさと帰って、ゆっくりマグロ堪能しよ。
そっと横を通り過ぎようとしたら、
手を取られた。



「ちょっと待てよ。
キミかわいいじゃん。
俺らに付き合ってくれたら
ゆるしてやってもいいよ?」



「……」



逃げないと、ってわかってる。
人間界に引っ越すときに散々言われた。
知らない人について行っちゃダメって。
ここから逃げるには
この人の手を振り払わなきゃ行けない。
でも、この人を振り払っても
この人の友だちらしき周りにいる他の人に
捕まる気がする。


……ネコに変身したい。
ネコの姿だったら逃げれる自信ある。
だけど、ここで変身したらダメ。



え、どうしよ。怖い……
さっきからニヤニヤしてるし。
周りの人見て見ぬふりするし。


「ほら、早く行くぞ」


何も言わない私に痺れを切らしたのか、
それとも無言を肯定と受け取ったのか、
わかんないけど、引っ張られる。


「い、いや……!やめて!」


怖さで大声が出なくて、
どんどん引きずられてく。


怖さで目を瞑る。
どうしよ…………



「おい」


パッと手が離れた。
え、、、?


そっと目を開けると、
さっき私の手を掴んでいた手を掴んでいる
男の人がいた。
すごい背が高くて
すごいかっこいいイケメンの人。
同じ学校の制服だ……



「なにすんだよ!」

「そっちこそ、なにやってんの?」



ものすごい気迫のチャラ男たちと
威圧オーラのすごいイケメン男。


「お前に関係ねーだろ!」

「さっさと離せ!」


チャラ男の仲間のチャラ男たちも声を上げる。
イケメン男は、涼しい顔を崩すことがない。


そして、なんの前触れもなく
チャラ男の腕を捻りあげた。


「いって!」


痛さに悶えて歯を食いしばっているチャラ男。
その姿にチャラ男の仲間も呆然としていた。


「迷惑。とっとと立ち去れ」


冷たくイケメン男が吐き捨てると、
チャラ男の手を離した。


「くっそ……!」


チャラ男は手首を抑えながら、
走って逃げてく。
それに続いて、仲間のチャラ男たちも
走り去っていった。


「大丈夫?」


唖然としてチャラ男たちの去る姿を
見つめていると
イケメン男に声をかけられた。


「あ、大丈夫です!
あの、ありがとうございました!」

「別に。ただ迷惑だったから
やっただけだし」



「じゃあ、俺行くから」
そう言って颯爽と立ち去る姿を
見送ることしかできなかった。



あの人の顔が、
脳裏に焼き付いて離れない。



昔、幼なじみに聞いた。
「ずっとこの人のことを考えちゃったり
気になっちゃったら、それは恋なんだって」


あ、これが恋なんだ。






















16歳、夏。
名前も知らない彼に
恋をしました。



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