本当は
 そんな曖昧な関係が3、4年ほど続いて、ご主人の勤務先の都合で転勤となり、本当は奥さんの不倫を危ぶんだご主人の意向で転勤したのだが、彼女もご主人に従って、西の支社へ転勤希望を出すこととなった。

 
 実際に転勤されて、央さんと逢う機会は減った、、、というよりこの転勤で、ご主人が思われているように二人が逢うことはなかった。しかし、央さんの転勤で、二人は同じ支社で働くようになった。
 それでも、以前のような関係には戻らなかった。結婚したら普通の男になったのかしら、と面白くないと彼女は思ったらしい。

 しかし、1年後くらいに央さんが、昏くなって覇気が感じられなってき、当時の仕事で悩んでいることが、わかったと、彼女は言った。
 その時に、誘ったら、乗ってくれた、、、と。

 かつてのように、ただ逢って身体を重ねることが数回。。。

 「もう止めよう。」

 ある日、
央さんは一言そういうと、それ以来彼女からの誘いを断った。

 本来だったら、後腐れがない付き合い。所謂、セフレと呼ばれる二人の立ち位置のはずだったが、奥さんが央さんに執着を見せるようになった。
 頻繁に奥さんからの誘いは続いたらしい。
 
 「仕事の先行きが見えてきて、このままだったら、私は女性取締役どころか、この人がいる地方都市の営業所に、飛ばされそうになっている。
 こんなにきつい時期なのに、、、てるからは無碍にされるし。
 てるがきつい時期は、私が慰めてあげていたでしょう。。。」

 私の隣に立つご主人の拳にグッと力が入った。

 そんな彼女の誘いに央さんは応じないどころか、会社でルールを破って呼び止める彼女を、冷たくあしらっていたらしい。
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