心はあなたを探してた
いつもより色々と話してくれる主任に気を良くして、思い切って経理係のメンバーについても聞く事にした。

私は、自分の書類の山で手一杯だから、経理係の皆さんとまだそれほど話した事がないのだ。

本当は、同じ係だからお話したいのだが、さすがに時間に追われてばかりでそこまでの余裕が無い。

「あの、加賀美さんと内田さん、それに係長ってどんな人ですか。
私、まだまともに話をした事がないので。」

「係長は、３５歳だったかな。４歳になる娘の話を聞いてやれば、何時間でも語るぞ。あの人は、普段は飄々としているが、会社の人間関係は結構把握している。敵に回したくないタイプだから、聞き役に回って、自分の事はあまり話さない方がいいからな。」

「係長って、のんびりお茶を飲んでいる雰囲気なんですけど、結構切れ者なんですか？」

「あの雰囲気に騙されて、話しちまうんだ。人事異動の時期になると人事係の兼務になって、向こうで仕事しているから、印をもらいに人事に通わないといけなくなる。」

「そうなんですか。気をつけます。」

主任は、頷くとビールをグッと一気に飲んだ。

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