心はあなたを探してた
「内田さんは、秘書課で専務の秘書をしていた。彼氏はいるらしいが独身で、ちびほより10歳上かな。総務系の部署担当だから、過去の経験で的確に処理している。そのうち秘書課か総務課で出世しそうだから、仲良くしとけ。
ただ係長の奥さんと若い頃、ライバルだったらしいから、そこには触れるなよ。」

「内田さんて美人だし、仕事も速いですよね。将来は、女性課長とかですか。かっこいい…」

「本人も秘書より幹部になるステップアップを見込んで、経理係に来ているから、頼られると嬉しいんじゃないかな。」

内田さんとは仲良くなっておいた方がいいなと心の中にメモしておく。

「加賀美さんは…その…仕事は売上金とか収入関係で、ほぼ定時上がりが条件で経理に異動してきた。
シングルでお子さんがいるから、残業できないんだ。」

「だから加賀美さん、早く帰るんですね。納得しました。私からは、そういう話は触れない方がいいですかね。」

「あぁ。」

どうやら加賀美さんには、同僚として仕事以外の話は、触れない方がいいらしいという事が分かった。

主任の口ぶりだとお子さんの父親は、会社の上の方か取り引き先の方のようで、加賀美さんの微妙な立ち位置が伺える。

「それで主任は?」

「俺の何が知りたい?」

真正面から顔を覗き込まれて、赤くなった自覚はあった。
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