心はあなたを探してた
155センチの私には、ワンピースのような長袖Tシャツの袖を折り返し、ブカブカの短パンを履こうとして、無くてもワンピースみたいだからいいかと諦めた。

上にカーディガンを羽織ると、主任にジャストサイズのカーディガンもロングカーディガンのような感じになる。

ベッドの下にあったスリッパを履いて、キッチンに行くと主任が振り返った。

「やっぱ、チビだな。」

「主任がデカすぎなんです。」

「まぁ、俺の服を着ているお前は、かわいいけどな。」

いきなりのかわいい発言に一瞬、思考が停止する。

「な、何を言っているんですか?子どもって意味ですか?」

「そうじゃない。好きな子が、自分の服を着ているって、結構嬉しいもんなんだなって思って。」

は⁈ 今、好きな子って言った?

「しゅ、主任。その…」

主任は、自分が何を言ったか、気がついたようで、顔を赤くしながら、すこし不貞腐れたような表情になった。

「あぁ、俺は里帆が好きだよっ。悪いかっ。」

「えっとですね。私まだ主任の事よく知らないんで、お友達からでもいいですか?」

私の返事に主任は、ぽかんとした顔をした。

「お友達ってなんだよ。一応先輩だろうが。」

「だってよく言うじゃないですか。お友達からって。」

私の言葉に主任は、はぁーと大きなため息を吐くと宣言した。

「ぜってぇ、お前から好きだって言わせるから覚悟しろよ。」

そんな事を言われて返す言葉に悩み、下を向いて誤魔化した。

だって私は、恋愛偏差値も女子力も低いから、主任みたいな人にいきなり言われたらどうしていいか正直なところ分からないんだもん。
< 17 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop