心はあなたを探してた
いきなり好きだと言われ、さらに私が主任を好きだと言わせると宣言されたが、現状私はスーツがクリーニングに出されているし、こんな格好で外に出れないから、アパートに帰ることも出来ない。

一旦、聞かなかった事にして、主任の前に座り優しい味の野菜スープとトーストの朝ごはん(主任の手作り、パンはホームベーカリーで作ったそうだ。)をいただく事にした。

「里帆。どうだ?」

「美味しいです。料理好きなんですか。」

「好きってわけじゃないが、身体のことも考えて、できる時間がある時は、作るようにしている。最近、夜がコンビニ弁当ばかりだったからな。朝と昼の弁当は作っている。」

「主任のお弁当ってあれ、自分で作っていたんですか。」

「当たり前だ。一人暮らしの俺に作ってくれる人がいるわけがない。」

たまに見かけた主任のお弁当を思い出す。

野菜がたくさんでヘルシーだけど彩りもきれいで、おかずが何種類も入ったお店で買ってきたみたいなお弁当だったような…

あんなの作って、誰よりも早く出勤してたの?

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