心はあなたを探してた
ちょっとモヤモヤする気持ちを押し込め、話を変える。

「さっきのは苦手だけど、この先にジップラインあるんですよね。
私、あれは好きなんですよ。
早く行きましょう。」

昼過ぎに着いたから、もうだいぶ日が落ちかけている。

コースの最後のジップラインを2人同時にやる事が出来るようなので競争する事にした。

「勝ったら、何でもひとつお願い出来るって、どうですか?」

「よしっ。負けないからな。」


動き出すと夕方の心地良い風ときれいな夕日にずっとこのまま浸っていたくなったが、横を見ると少し前に恭輔さんがいる。

負けは確定っぽいけど、何をお願いされちゃうのかな?

それさえも嬉しく思っている私は、もう恭輔さんを好きになっているんだと完全に自覚した。

もともと仕事で厳しくて大変だったはずなのに、ちょっと優しくされると嬉しかったくらいだから、無意識に惹かれていたんだろう。

そう思うと恭輔さんからの告白と好きだと言わせる発言で簡単に好きに傾いてもおかしくなかったんだ。

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