心はあなたを探してた
「里帆ちゃん、聞いてる?」

飛鳥ちゃんの声に慌てて現実に戻る。

「うん、営業2課の近藤さんと天野さん、天野さんの同期で3課の鹿島さんだよね。」

いけない、いけない。今はここに集中しなきゃ、皆さんに失礼だわ。

「俺、担当は里帆ちゃんが良かったなぁ。久川って容赦ないからさぁ。」

近藤さんが言うと皆さん、頷いている。

そう言えば営業の担当は恭輔さんだから、ここにいる全員が恭輔さんに担当されているのだと気付いた。

「あいつ、入社から経理で1年目から課長にも容赦なく書類不備を指摘してたから、びっくりしたのを覚えてるよ。」

「研修の時から、誰ともつるまないから、生活、謎だよな?」

「天野さんと鹿島さんは、久川主任と同期なんですか?」

「そうだよ。もっともあっちは、同期なんて覚えてないだろうけど。入って3年で主任で、そろそろ係長になりそうなあいつと違って俺たちは、主任付いたばっかりだからなぁ。」

「王子って呼ばれるほどイケメンだし、仕事は出来るからいい男と思われるらしくて、直接仕事に関わらない女の子は、かっこいいとか言ってるけど、男女関係なく営業部では氷結王子とはお近づきになりたくないと思われているよ。」

天野さんと鹿島さんは、同期だけど恭輔さんの事は、他の人並みにしか知らないらしい。

あの人、社内で仲の良い人っていないのかなぁ。
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