大切なあなた
始まりは・・・
「すみませーん、インタビューお願いします」
朝7時20分。
出勤のラッシュよりも少し早い時間。
足早に職場に向かおうとした私に、突然声がかかった。
えっ。
一瞬怯んでしまった私の足が反射的に止まる。
「今からご出勤ですか?」
クソッ。
何で止まったんだろう。
止まらなければ、そのまま行けたのに。
「え、まあ」
朝のこの時間、きちんとスーツを着て、『○○県』ってわざわざ書いた紙袋まで下げて県庁の建物に入って行く人間は90パーセントが県職員。
要するに公務員で、公僕。
県民の民様のために働く人間。
よって、県民から掛けられた声を無視するようなことできない。
今の時代気を付けないと、すぐにクレームが来てしまう。
「あなたにとって大切な物とは何ですか?」
時々テレビで顔を見る地方局のアナウンサーが、ニコニコと聞いてきた。
「大切な物ですかぁ・・・」
季節的に、先週が子供の日だったし、来週が母の日、来月には父の日もあって、『子供』とか『家族』とかって答えを求めているんだろうなとは思うけれど・・・
「コンタクトレンズですね」
「はあ?」
フフ。
すごい顔。
「いえ、あの、もっと他に大切な」
「私、目が悪くてコンタクトがないと人の顔も見分けられませんし、ご飯もおいしくいただけないし、すべてにおいて困るんですよ」
「それはそうかもしれませんが・・・」
「もういいですか?」
返事を待つことなく、私はその場を後にした。
そして、
ヤッタ。
心の中でガッツポーズ。
忙しい朝の出社時間を潰されて、期待にそうような答えなんてしてあげるものですか。こっちも忙しいんだから。
朝7時20分。
出勤のラッシュよりも少し早い時間。
足早に職場に向かおうとした私に、突然声がかかった。
えっ。
一瞬怯んでしまった私の足が反射的に止まる。
「今からご出勤ですか?」
クソッ。
何で止まったんだろう。
止まらなければ、そのまま行けたのに。
「え、まあ」
朝のこの時間、きちんとスーツを着て、『○○県』ってわざわざ書いた紙袋まで下げて県庁の建物に入って行く人間は90パーセントが県職員。
要するに公務員で、公僕。
県民の民様のために働く人間。
よって、県民から掛けられた声を無視するようなことできない。
今の時代気を付けないと、すぐにクレームが来てしまう。
「あなたにとって大切な物とは何ですか?」
時々テレビで顔を見る地方局のアナウンサーが、ニコニコと聞いてきた。
「大切な物ですかぁ・・・」
季節的に、先週が子供の日だったし、来週が母の日、来月には父の日もあって、『子供』とか『家族』とかって答えを求めているんだろうなとは思うけれど・・・
「コンタクトレンズですね」
「はあ?」
フフ。
すごい顔。
「いえ、あの、もっと他に大切な」
「私、目が悪くてコンタクトがないと人の顔も見分けられませんし、ご飯もおいしくいただけないし、すべてにおいて困るんですよ」
「それはそうかもしれませんが・・・」
「もういいですか?」
返事を待つことなく、私はその場を後にした。
そして、
ヤッタ。
心の中でガッツポーズ。
忙しい朝の出社時間を潰されて、期待にそうような答えなんてしてあげるものですか。こっちも忙しいんだから。
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