大切なあなた

セーフか、アウトか、

「唯、帰らなくて大丈夫なの？」

２人とも一眠りして、目が覚めたのは夜も更けた頃。
狭いシングルベットの上で、私の体に腕を回したまま耳元で声をかける影近。

「帰らせてくれなかったのは誰？」
「それは・・・」

影近よりも少し先に目が覚めた私は、『遅くなるから月をお願い』と実家の母にメールをした。
仕事が忙しいのをわかってくれている両親は、こんな時快く月を預かってくれる。
月にはかわいそうなことをするけれど、おじいちゃん大好きな月はそれなりに楽しんでいると思う。

「何か、中学生みたいだな」
「はあ？」
影近の言っている意味が分からなくて、顔を上げる。

芸術家肌と言うか、言葉足らずと言うか、時々面白いことを言う影近。
それが彼らしくはあるんだけれど・・・

「ごめん、私にもわかる言葉でもう一度お願い」
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