大切なあなた
「お疲れ様です」
「お疲れ、あ、駿」

イベントが終わり昼食時間。
出迎えた私と駿に笑いかける影近。

「午後のチャリティーコンサートもよろしくお願いします」
「ああ、よろしく」

その後も親しげに話し続ける影近と駿を、不思議な気分で見つめていた。

この先、私たちの人生がどうなるかなんて誰にもわからない。
出来れば平穏で幸せな時間であってほしいと思う。

「駿、今度東京に出てきたら連絡しろ」
「わかりました」
「唯もだぞ」
「ええ」

影近は私たち同世代を生きる仲間にとって期待の星であり、あこがれの人。
もちろんそこには苦悩もあるだろうけれど、挫けずに向かって行く姿に勇気をもらう。

「影近、ずっと応援しているからね」
「ああ」

月野影近、私はあなたを愛しています。
人として尊敬し、あこがれ続けています。
だからもう少しだけ、このままでいさせて。

ブブブ ブブブ
携帯の着信。

あ、月からだ。

「すみません」
私は頭を下げて席を離れる。

「何、彼氏?」
影近からかけられた声。

「ええ、大切な人なんです」
そう言って私は駆け出した。


fin
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