大切なあなた
私と影近は特別仲が良かったわけではない。
サークルで顔を合わせる程度で、付き合っていたこともない。
ただ、
「このまま黙っているつもりですか?」
「ぅ、うん」
何か言いたそうに駿が私の顔を見ている。
駿の言いたいことはわかっている。
でも、どうしようもない。
「月にも言わないつもりですか?」
「それはまだ、この先考えることだから」
月が大きくなって、知りたいと言えば教えるかもしれない。
でも、そのことを影近に知らせるつもりもない。
私の一人息子、月の父親は影近だ。
5年前、たった一夜の関係で授かった命。それが月。
自分でもなぜそんなことになったのかはわからない。
大学時代から通じて影近のことが気にはなっていたけれど、恋に落ちるほど夢中だったわけではない。
「何でこんなことになったんだろう」
はぁー。
とため息とともに吐き出すと、
「自分で言ってどうするんですか」
駿に突っ込まれた。
サークルで顔を合わせる程度で、付き合っていたこともない。
ただ、
「このまま黙っているつもりですか?」
「ぅ、うん」
何か言いたそうに駿が私の顔を見ている。
駿の言いたいことはわかっている。
でも、どうしようもない。
「月にも言わないつもりですか?」
「それはまだ、この先考えることだから」
月が大きくなって、知りたいと言えば教えるかもしれない。
でも、そのことを影近に知らせるつもりもない。
私の一人息子、月の父親は影近だ。
5年前、たった一夜の関係で授かった命。それが月。
自分でもなぜそんなことになったのかはわからない。
大学時代から通じて影近のことが気にはなっていたけれど、恋に落ちるほど夢中だったわけではない。
「何でこんなことになったんだろう」
はぁー。
とため息とともに吐き出すと、
「自分で言ってどうするんですか」
駿に突っ込まれた。