紫陽花
月曜日。いつものように早く出社した。
拓実と顔を合わせるのが辛い。業務上、全く関わらないという事は出来なかった。やっぱり社内恋愛なんてするんじゃなかったと反省する。出社時刻の8時30分が近づくと多くの人がオフィスに入ってくる。拓実の姿は無かった。直行かなと思っていたら、ホワイトボードに体調不良というマグネットが貼られた。大丈夫?とLINEするか迷ったが、よく考えた自分を振った相手から心配されても嬉しくないだろう。

午後、いつものように部長が作ってくれたお弁当を食べた後幸せな気分でオフィスに向かうとなんだかザワザワしていた。
「どうしたんですか?」と入り口近くの同僚に聞く。「…美咲ちゃん……」とその子が言った途端、みんなが私を気まずそうに見る。
すぐに分かった。わたし、何かとんでもないミスをしたんだ!一気に血の気が引く。青ざめたまま自分の席に座る。部長が私の席まで来た。「大丈夫だ。俺がなんとかする。」優しい、頼れる言葉を聞いたら泣きそうになったが、泣いたら余計に迷惑だと思いグッとこらえて「申し訳ありません」と声を絞り出した。
それからは部長が得意先に謝ってくれたり、事務の人達はもう一度新しい資料を作ったりドタバタとしていた。
あっという間に定時になる。「本当に申し訳ありませんでした。あとは私がやります。」と1人1人に声をかけていった。部長を除いて、どうにかみんな帰ってくれた。私1人のミスのために残業なんて絶対させたくない。
23時を過ぎる頃、全てが無事に終わった。事の発端は美咲では無かったが美咲の確認漏れがあったのだった。
オフィスに残ったのは美咲と部長だけだった。何度帰ってくださいと言っても帰らず手伝ってくれていた。
「部長、終わりました。本当に申し訳ありませんでした。」深々とお辞儀をすると「気にするな。誰にでもミスはあるからな。」と慰められた。同じ部署の人に迷惑かけた事、そして部長に迷惑かけたこと、、思わず涙が出てしまった。これ以上心配と迷惑をかけたくなくて、すぐに顔を背けた。
「松村…」と部長が何かを言いかけた。「もうこんな時間!帰りましょ!」と元気な声を出して言った。「こっちを見ろ」珍しく命令口調な部長の言葉に振り返ってしまった。
目が合う。明らかに涙を流した顔を見ても、部長は同情も無く引く様子も無く、ただ優しい瞳で私を見つめていた。
「…無理するな。泣きたい時は泣いても良いんだ。頑張っていること、俺はわかっているから。」その言葉を聞いた途端、わあぁと泣き出してしまった。拓実とのこと、仕事の事、そして部長に対する想い。色々な気持ちが手持ち花火のように吹き出してしまった。さすがに部長への想いは口に出せなかったが、他のことは全て話してしまった。
部長が私の頭を撫でながら、話を聞いてくれた。大きな手だ。こうやって誰かに頭を撫でられるのはいつぶりだろう。安心する。
「部長…長い話を聞いてくださって」ありがとうございますと言おうと顔を上げるとすぐ目の前に部長がいた。

部長の目が真っ直ぐにわたしを見る。誰も居ないオフィス。右手が私の顎を掴み顔を近付ける。拒否するべきなのは分かっている。部長は結婚してきるのだから。
でも拒否出来なかった。むしろこうなることをずっと望んでいた。目を閉じる。唇が少しだけ触れるような優しいキス。
また見つめ合う。言葉に出したい。好きだと伝えたい。お互いがそう強く想っている。だが、それを伝え合う事はできない。
彼の両手が私の頬を覆う。またキス。今度のキスはまるで獣のような、貪るような激しいキスだった。「ん…」思わず甘い声が出てしまった。彼はその声に欲情したようで、右手が頬から徐々に下がっていく。ブラウスの膨らみの上をゆっくりと撫で回す。いけない事なのはお互い理解してるが止まらない。貴方が欲しい。唇が離れると頬やおでこ、首筋にキスをしながらブラウスのボタンを外されていく。露わになった下着。今度は下着の上から胸を揉まれる。「あっ…」
ブラを上にずらされ、豊満な胸がこぼれ落ちる。思ってたより大きかったのか、「すごく…綺麗だ」と息を呑んだ。部長が両手で優しく乳房を揉む。敏感な先端に触れられた瞬間さっきより大きい声が出てしまった。先端を転がされたり、つままれたり、甘噛みされたり、、あまりの気持ちよさに立っていられず部長にもたれかかる。部長のあそこが固くなっているのが分かった。
本能のまま部長のあそこに触れる。一瞬ビクッとしてから、息を吐き出した。「もう、我慢できない」というと、部長のデスクに押し倒された。背中にデスクの硬さを感じる。
またキスをされる。舌を絡めていると脳天がクラクラする。スーツのスカートを腰まで捲り上げられる。恥ずかしさよりも興奮が強い。湿っているパンツをずりさげられる。指が優しく溢れ出ている液体をすくう。そしてそれを最も敏感な部分になすりつけられる。
「あぁっ…あんっっ!!」誰かがオフィスに来たら大変なことになることは分かっていたが、余りの快感に声が抑えられない。部長にキスされて口を塞がれる。左手は乳房を弄ばれ、右手はクリトリスを転がされている。
非現実的な場所と、大好きな部長が我を失って美咲を求める姿がより一層深い快感に引き摺り込む。
「あっんあっ、もうだめぇぇ!!!」あっと言う間にイってしまった。部長が私を抱き締める。私も全力で抱き締め返す。腕がほどけたと思ったらベルトを外すカチャカチャという音がオフィスに鳴り響く。もう拒否したいと思うはずもなく、部長を見つめる。部長も分かってくれたようで何も聞かずに美咲の片足をグッと持ち上げ自分のペニスを突き刺す。「あぁぁあん!」大きくて、長くて、固い。あまりの気持ちよさにぐっと力が入ってしまう。部長が「あまり、締め付けるな…」と少し苦しそうに言う。
思わず「あ…ん…おっきくて気持ちいいです…」と言うと膣の中で更に大きくなったのを感じた。
ゆっくりと部長が動きはじめる。
き、きもちいい……
良いところにしっかり当たる。徐々に腰の動きが早くなる。今自分がどこにいるかもすっかり忘れ、ピストン運動に合わせて声を上げていた。部長の顔を見ると、いつもと全然違う顔。クールで余裕のある表情は一切なく苦しそうに、必死に腰を振っていた。その様子を見ると余計に興奮してしまう。「くっ…そろそろいくぞ」さらにピストンが早くなる。一気に頂上に登らされる。「わ…わたしも、イキます!あっ…あっん…なかに、なかに欲しいです!!」快感のあまり今まで言ったことが無いような言葉を口走っていた。恥じらいと快感でイッてしまった。部長がすぐにペニスを抜き、太ももに熱い精子を放つ。部長が私の上にもたれかかってきた。耳荒い息遣いが聞こえる。
私は部長を抱き締める。部長も抱きしめ返してくれる。お互い好きとも愛してるとも言わない。ただ、キスをするだけで気持ちが通じ合った。
「シャワー浴びるか」下の階のシャワー室へ向かう。一応シャワー室と仮眠室はあるのだ。現在時刻は0時。家に帰るのも面倒なので泊まってしまおうという話になった。
シャワーをさっと浴びたあと一台しかないベッドに腰掛けた。部長がシャワー室から出てくる。「松村はそこで寝ろ。俺はどこか別の場所で寝る。」「でも、、部長も疲れてますよ!!一緒に寝ませんか?」もう全てを見られているので恥じらいは無かった。
「誰かに見られたら大変だからな。」
部長の一言で夢から覚める。
そうだ、これはれっきとした不倫だ。私はなんて事をしてしまったのか。。
罪悪感で押しつぶされそうな美咲を見て部長は「すまない…止められなくて…いやだったか」と急に確認してきた。
「いえそうではなくて…むしろ、、嬉しいです。」「そうか。」また沈黙。気まずい関係になってしまうのは嫌だ。
「お願いです。5時までなら絶対だれも来ません。一緒に寝てください」
「…わかった。」
2人裸でシングルベッドに寝転ぶ。身体がかなり近い。部長は背を向けてねころんでいた。背中を向けられるのは寂しい。
今だけは、私の事だけを考えて、私の事だけを見て。背中にピッタリとくっついた。部長の身体が温かい。部長はビックリした様子で「どうした?」と言った。「…こっち向いてください」弱々しい声で頼む。部長がくるりとこっち向きになった。
好きです、と心を込めて唇にキスをする。
「松村…後悔するなよ」と言うなり上に覆いかぶさって激しく舌を絡ませられる。
えぇっ?もう一回戦ですか!?
右手がじっくり乳房を揉む。「こんなに大きいとは思わなかった。」じっと見ながら部長が言う。「そ、そんなに見ないでください」急に恥ずかしくなり両手で顔を覆う。「可愛い顔を良く見せてくれ」と手を外され、頭の上に押さえつけられる。もう片方の手で乳首を摘まれる「あんっ」喘ぎ声が出る。「感じやすいんだな」とクスリと笑うとまた乳房を揉んだり、乳首を転がしたり美咲の反応を見て楽しんでいた。また自分の秘部から液が垂れてくるのがわかった。息を荒くしながら言う「部長、、Sですね…」
部長は「そんなことないだろう。」と笑いながらとろけている所に指を入れかき混ぜ始めた。自然と声がでる。「ひゃっ、あん、そ…そこ…」きもちいぃ…「指が動かしにくい。そんなに締めるな」と楽しそうに部長が耳元で言う。液体が止まらない美咲の秘部からはぴちゃぴちゃと卑猥な音がする。「こんなに濡らして…いやらしい音が響いているぞ」指の動きが早くなる。「ぶ、部長、イッちゃいます…」と途絶え途絶えに伝えると指をすっと抜かれた。「え…」イキそびれた。
部長は「どうした?」と少し笑いながらこっちを見ていた。さっきは余裕無かったくせに、どうやら今回はかなり余裕そうだ。くやしい。美咲は起き上がり部長の足の間に座りペニスを手に掴んで上下をした。「や、やめろ、、松村はそんな事しなくて良い」部長が慌てる。余裕が少し無くなった姿を見てより興奮した。上目遣いをして、ペニスを口に含む「あっ…松村…」快感で苦しそうな顔。そのまま吸いながらゆっくり顔を動かす。「くっ」と部長から吐息が漏れる。今度は私が少し笑ってしまった。「お前…」と少しくやしそうな顔をするいうと上半身を起こして美咲を無理矢理自分の上に座らせた。「ひやぁっ!」いきなり突き刺さる熱い棒。下から激しく突かれる。「あっ!あん!!!ダメ!!いきなり…そんなに激しくしないで!!」懇願するも部長は「さっきまでの余裕はどこ言ったんだ」と笑いながら下から突き上げてくる。胸を強く揉まれてキスまでされるとまた快感の波が押し寄せる。「んん!!!イク!!!」というとまたペニスを抜かれてしまった。またイかせて貰えなかった。
もう我慢できない…
自分の股を部長のペニスにこすりつけ、部長を見る。その様子を見て興奮したのか激しいキスをしてから「もっと俺を欲しがれ」と一言言い放った。そのドSな言い方にMが目覚める。もうずっと前から貴方の心も身体も欲しかったんです。分かってください。美咲は足をM字に開き、自分の指で秘部を広げる。「部長のチンポが欲しいです。いかせてください。」なんてはしたない格好。下品な言葉。
今まで言ったことない言葉が部長の前ではどんどん出てくる。「良い子だ」というと美咲を強引に四つん這いにさせペニスを思いっきり後ろから突き刺した。「はぁあん!!」大きい声が出る。「そんな声を出すな。誰かが来たらどうするんだ。それとも見られて興奮するタイプなのか」言葉責めで更に快感が増す。2回目だと思えないくらい固いペニスが何度も何度も美咲の膣を擦る。我慢させられた分の快感が押し寄せてくる。「もう!!い、イクっっ!!」「松村…綺麗だ」その言葉を最後に記憶は途切れた。

「そろそろ起きろ」その言葉で目が覚める。
昨日と同じスーツを着た部長が美咲の肩を叩いた。自分が今どういう状態なのか瞬時に理解した。裸で仮眠室のベッドの上。
あのまま寝ちゃったんだ!「み、見ないでください!!」部長がふっと笑いながら「あんなに乱れてたくせに」と耳元で呟く。「部長!!」顔が熱い。恥ずかしい。「もう6時になる。準備しろ」というと仮眠室から出ていった。もうそんな時間なんだ!急いでスーツを来て化粧を直す。部屋から出るとまるで夢から目覚めたような気分だった。

出社してきた人たちに「昨日泊まったの!?大丈夫!?」と心配される。「昨日は本当に申し訳ありませんでした。無事に終わりました」と伝えていく。「疲れたでしょ?今日は早く帰りなよ」と言われるたびに、どちらかと言うとテンション上がって元気いっぱいです!!私!!!大好きな人に抱かれたんです!!と言いたいのを堪えて「心配してくださってありがとうございます」と言う。
拓実も「昨日大変だったんだってな。大丈夫か?何かあったら俺に言えよ」と心配してくれた。
仕事をしつつ部長を盗み見る。部長も昨日と同じスーツだったが誰からも何も言われていなかった。いつもと同じ、変わらないクールで何を考えているのかわからない顔をしていた。パッと目が合う。部長が少し笑ってから目線をPCに戻した。なに今の…昨日の事を思い出して身体が熱くなる。だめだ、集中しよう。
部長とのLINEの内容は前と変わらず他愛の無い内容だったが、LINEの頻度は高くなり、たまに〈また残業するか?笑〉などちょっとHな話をするようになった。

部長は私の事どう思っているのだろう。奥さんには私の話してないよね。離婚して私を選んで欲しい。最初は遠くから見つめるだけで良かったのに、話したい、触れたい、キスしたいたどんどん欲張りになっていく。夜寝る前は部長からLINEが来ないか待ち、スマホを握ったまま寝ることが増えた。
部長の事を考えすぎているせいか、仕事でも小さなミスが増えた。頭がお花畑になっていることは分かっていたがどうしようも出来なかった。部長と話がしたい。
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