紫陽花
気付くと家にいた。
インテリアが倒されて破れてビリビリになった服が散乱している。


割れた鏡に映った顔を見る。
涙でぐちゃぐちゃに濡れた顔。鼻水が顎まで伝っていた。 

自分の醜い顔と汚い部屋に笑えてきた。

奥さんのこと愛してないって言ったじゃない。
嘘だった。
日曜日は奥さんが休みだから連絡が来なかった。
貴方はあんなに私を求めたじゃない。
身体だけだったんだ。
私の事なんてどうでも良いの?
どうでも良いんだ。
私の事なんだと思ってるの?
都合の良い存在。

散らばった物を片付ける。
ピンクのブラウスは紫陽花の花のように小さくハサミで切り刻まれてた。


私はこれから紫陽花を見るたびに自分の愚かさを恥じるのだろう。


ブラウスをゴミ袋に捨てた。

ゴミ袋の中に淡いピンクが散らばる。

そのまま外のゴミ捨て場に持っていった。


誇れる自分になろう。
全てを一度捨ててやり直そう。

美咲は求人アプリをインストールした。



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