愛の死
3. 新しい友達
「よっ。おれ、谷口海斗。よろしくな。」
「よ、よろしく。」
ピーンポーンパーンポーン
「今日は一限目が英語ね。二限目は私と数学。先生が教室にいない間、騒がしくならないように。では、またあとで。」
そう言って小豆先生は教室を出ていった。
『誠哉とでも話そうかな。』
海斗は誠哉の方に振り向いた。
「木村君。」
「何。」
「あ、えっと。」
予想以上に誠哉の声が冷たかった。
「木村君じゃなくて誠哉でいいよ。ごめんね、今冷たい声出しちゃって。つい癖で。次から気を付けるね。」
誠哉の声が今度は少し焦っているように聞こえた。顔も少し赤かった。
『かわいすぎだろ。惚れちまうわ。』
海斗は知らず知らずのうちにはにかみ顔をしていた。
「で、何か言いたい事あった?」
今度は優しい声だった。
「えっとさ、さっき自己紹介の時英語が好きって言ってたじゃん。もしかして、帰国子女とかなんかそういうの。」
「ううん。全然。むしろ外国行った事無いし。」
「え。じゃあ英語はどうやって。」
ガラガラ。教室のドアが開いた。
「ごめん。今の質問後で答えるね。」
「Everyone get to your seats. (皆自分の席に着いて。)」
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