愛の死
5. 放課後
ピーンポーンパーンポーン
「誠哉っ。帰ろうぜ。」
「おう。」
誠哉は落ち着いた口調で応えた。
海斗と誠哉が正門に着いた時、そこには担任の小豆先生がいた。
「あら。谷口君と木村君じゃない。」
「どうも。」海斗と誠哉は同時に言った。
「木村君、今日学校どうだった。」
先生が誠哉に尋ねる。その時、海斗は先生の顔が赤くなっている事に気が付いていた。
『小豆先生、誠哉の事好きなんだな。』
そう思っていた海斗の顔はボケーッとしていた。
「海斗。海斗!大丈夫か。またボーっとしてるぞ。眠いのか。」
「ううん。大丈夫。眠くない。」
「そう。じゃあ、先生さようなら。」
「はい。さようなら。二人とも気を付けて帰ってね。」
先生の声を無視していた海斗は誠哉に言った。
「なぁ誠哉。お前、絶対小豆先生に好かれてるよ。」
「は。何言ってんの。」
「だって先生お前と話してる時、明らかに顔赤かったもん。」
海斗は必死に嫉妬心を隠そうとした。
「おいマジかよ。」
「ああ。」少し哀しみが感じられる声だった。
十分程度二人は黙っていた。聞こえていたのは足音だけだった。
「なぁ海斗」
誠哉がいきなり喋り出したため、海斗は少し驚いた。
「何。」
「今から俺ん家来いよ。誰もいないし。」
「いいけど・・・。」
「一緒に宿題しようぜ。海斗に教えてほしい事とかあるし。」
「いいよ。」
『先生の事はどうしたんだ。数日間黙っていたけど、今はどうって事ないぞ。』
海斗は誠哉の声や表情の素早い切り替えについて行けていけてなかった。
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