明日、きっと別れを告げます
「今度のお休み、どこか行きません?」

「いいね。真知はどこ行きたい?」

「うーん、先月新しいショッピングモールができたでしょ。混むかもしれないけど、行ってみたいなって」

「ああ、いいね。すごくたくさんのショップが入ってるって話題だよね」

「日本初上陸のパンケーキ屋さんにも行ってみたい」

「テレビで見たよ。すごい行列。並ぶ覚悟ある?」

「あ、そっか。二時間待ちとか、でしたっけ?さすがにツライかな?」

「あはは。でも俺は、真知となら何時間でも並べるけど。一緒にいれば時間なんてあっという間だよね」

そう言って柔らかく笑う高野さんはいたって普通で。
所帯じみたことなんて一切感じられなくて。
だからやっぱり結婚してるなんて何かの間違いだよって思った。

「今週の日曜はどうです?」

「うん、いいよ」

ほら。都合だって空いているし。
なにも問題ないでしょう。

私は疑うことを忘れて次の日曜日に思いを馳せた。
だって高野さんがそんな嘘をつくわけがない。
こんなに優しい彼氏が私を騙してるなんてありえない。
だから大丈夫。

「楽しみ」

ふふっと笑えば「俺も」と笑い返してくれた。
それだけで私は満たされた気持ちになった。

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